みなさんご存知の通りヘリコプターが離着陸できる場所を「ヘリポート」と言います。
ひと口に「ヘリポート」と言ってもその中にはいくつか種類があり、それぞれ分類されています。
この記事ではヘリポートの種類や設置基準、使用目的などを解説していきます。
ヘリポートの種類
ヘリポートは大きく3種類に分けることができます。
■公共用ヘリポート
■非公共用ヘリポート
■場外離着陸場
・防災対応離着陸場
このようにヘリポートの種類は3つに大別でき、また場外離着陸場はさらに細かく分類されています。
それぞれどのようなものなのか見ていきましょう。
公共用ヘリポート
公共用ヘリポートは、不特定多数のヘリコプターが使用することのできるヘリポートです。
航空法によってヘリコプターの進入、着陸、離陸、地上での移動における空間を確保することを定められており、公共用ヘリポートの場合その空間には建造物や植栽物などの障害となるものを構築することが制限されています。
そのため公共用ヘリポートは最も厳密な基準に基づいて設置され、申請先も航空局の本省になっています。
公共用ヘリポートは都道府県や市などが設置、管理している場合が多く、運用時間内であれば誰でも使うことができます。
いくら公共用と言っても無断で使用することはありませんが、事前に電話やメールなどで使用する旨を伝えて使います。
公共用ヘリポートには給油施設が必ずあるので、そこを拠点として任務をすることがあります。
国土交通省によると、2023年1月31日現在で日本には12ヶ所の公共用ヘリポートがあるそうです。
この表に福岡の「奈多ヘリポート」が入っていないのに気づきましたか?
奈多ヘリポートも不特定多数のヘリコプターが使用することができるので、公共用ヘリポートだと思われがちですが実は違うようです。
奈多ヘリポートの正式な名称は「福岡空港(奈多地区)」といい、法律上は福岡空港の一部とされています。
なので混乱しそうですが、厳密に言えば奈多ヘリポートはヘリポートではないようです。運航する側からしたらどうでもいい話ですが。
奈多ヘリポートは福岡国際空港株式会社が管理をしています。
非公共用ヘリポート
非公共用ヘリポートは、特定のヘリコプターの運用のために設けられたヘリポートです。
警察、消防、新聞社、病院、民間の運航会社などが設置している場合が多いです。
関係のないヘリコプターでもその設置管理者の了解を得れればヘリポートを使用することができます。
しかし、公共用ヘリポートに比べて使用料が高く設定されている場合がほとんでです。
ヘリポートにもよりますが、R22のような小さいヘリコプターでも、一回の着陸で8000円かそれ以上の料金がかかるところが多いです。
建造物や植栽物などの構築が法律によって制限されていないので、最悪の場合、その空間にそのような障害物ができた場合はヘリポートを運用できなくなる可能性もあります。
実際にはヘリポートの運用者が全力で止めると思いますが。
国土交通省によると、2023年1月31日現在で日本には89ヶ所の非公共用ヘリポートがあるそうです。
場外離着陸場
場外離着陸場は、臨時のヘリポートで設置し使用するためには国土交通大臣の許可が必要です。
日本の航空法では、航空機は原則空港等以外の場所においては離着陸ができないようになっています。
(離着陸の場所)
第七十九条 航空機(国土交通省令で定める航空機を除く。)は、陸上にあつては空港等以外の場所において、水上にあつては国土交通省令で定める場所において、離陸し、又は着陸してはならない。ただし、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。
航空法
場外離着陸場の申請を行う際は、地方航空局における場外離着陸許可の事務処理基準に定められている条件を満たすことを確認します。
申請先は航空運送事業の場合は地方航空局(東京航空局又は大阪航空局)、それ以外の場合は空港事務所に申請を行い許可を受けた航空機及び操縦士だけがその場外離着陸場を使うことができます。
原則として3ヶ月以内の有効な使用許可書が交付されます。
場外離着陸場と一口に行っても様々なものがあります。
グライダーの滑空場や病院のヘリポート、山奥の空き地など、どんな場所でも許可が降りればそこは場外離着陸場です。
仕事の内容にもよりますが、ヘリコプターは場外離着陸場を使う機会が非常に多いです。
場外離着陸場の数も非常に多く、全国で1万箇所を超えていると言われています。
防災対応離着陸場
災害時において緊急輸送等に使用する離着陸場で学校のグラウンドや河川敷のスペース、駐車場などが多く設定されています。
ドクターヘリや消防防災のヘリコプターが人命救助などの任務を行う際に使います。
通常の場外離着陸場に比べて設置基準は大幅に緩和されています。
40m四方程度の空き地があれば比較的容易に設定で、周囲に若干の障害物があっても災害時は緊急用のヘリポートとして使用することができます。
また申請方法も電話やFAXなどの簡易な方法でできるようになっています。
その他の離着陸場
公共用ヘリポート、非公共用ヘリポート、場外離着陸場以外には「緊急離発着場」と「緊急用救助スペース」があります。
これらはあくまで「緊急時用」なので、訓練などの一部を除いて普段使うことはありません。
これらについては、緊急離着陸場等設置指導基準に用語の定義や設置の基準などが定められています。
緊急離発着場
緊急離着陸場等設置指導基準の中では次のように定義されています。
緊急離着陸場 建築物の屋上で航空消防活動を行うヘリコプター(以下「緊急用ヘリコプター」という。)が離着陸する場所をいう。
緊急離着陸場等設置指導基準
見たことがあるかもしれませんが、高層ビルの屋上にあるHマークは「緊急離発着場」を表しています。
ビル火災時や緊急時にヘリコプターがビルの屋上に着陸して、人や物資を運んだりする事ができます。
緊急救助用スペース
ビルの屋上にあるRのマークは「緊急救助用スペース」を表しています。
RはRescueのRですね。
定義は以下のようになっています。
緊急救助用スペース 建築物の屋上で緊急用ヘリコプターがホバリングする場所をいう。
緊急離着陸場等設置指導基準
ビル火災や緊急時にヘリコプターがビルの上でホバリングを行い、救助活動を行うためのスペースです。
床面の強度の問題からヘリコプターが実際に着陸することはできません。
ヘリコプターの重さでビルが崩れるなどの二次災害を防止するためです。
着陸可能なヘリポートと識別できるようにRの文字が記されています。
まとめ
■公共用ヘリポート
不特定多数のヘリコプターが使用できる。
■非公共用ヘリポート
特定のヘリコプターが使用するためのヘリポート。
■場外離着陸場
臨時のヘリポートで国土交通大臣の許可が必要。許可された航空機と操縦士のみが使用できる。
・防災対応離着陸場
緊急時にドクターヘリや消防防災のヘリコプターが人命救助などの任務を行うための場所。
通常の場外離着陸場に比べて設置基準は大幅に緩和されている。
■その他の離着陸場
・緊急離発着場
緊急時用にビルの屋上に設置されているヘリポート。実際に着陸できる。
・緊急救助用スペース
緊急時用にビルの屋上に設けられているホバリングスペース。実際には着陸できない。