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海陸風【Sea Breeze・Land Breeze】

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今回は天気図では予測することのできない天気現象の一つである、「海陸風」についてです。

海陸風は主に海岸近くの地域で発生する局所的な天気現象です。

ヘリコプターのパイロットにとっては、こういった局所的な天気の現象に左右されることが多いので、この記事を読んで知識を確認していきましょう。

目次

海陸風とは?

海陸風とは一体どういう意味なのでしょうか。

日中に海から陸に向かう風を「海風」、夜間に陸から海に向かう風を「陸風」と言います。

これらをまとめて海陸風と読んでいます。

海陸風は気圧配置による一般風とは関係なく発生し、天気図では予測できない局所的な天気現象として知られています。

一般風が強い場合には海陸風が観測されないこともあります。

なぜ海陸風が発生するのか?

海陸風が起きる原因は陸と海の「比熱」の違いです。

比熱とは1gあたりの物質の温度を1度あげるのに必要な熱量のことです。
「比熱が大きい」ということは、物質の温度を上げるために必要な熱量が多いので温まりにくく、冷めにくい性質を持っています。
逆に「比熱が小さい」ということは、温まりやすく、冷めやすい性質を持っているということです。

陸地は海水に比べて比熱が小さいです。

したがって陸地は海水よりも温まりやすく冷めやすくなっています。

感覚的にわかりやすいように真夏のビーチをイメージしてみましょう。

裸足で砂浜を歩くと熱くて火傷するかと思いますよね。

しかしそれに比べて海水は熱くはなく、むしろ冷たく感じられます。

同じように太陽の熱によって温められていても、陸地と海ではこれだけ差が出てきます。

陸地面温度の日変化は20℃を超えることもあると言われていますが、海水面温度の日変化は大きくても2℃程度と言われています。

この比熱の差が海陸風を生み出しています。

海風(Sea Breeze)

日中に海から陸に向かって吹く風を海風と言います。

日中は太陽によって陸地が温められ、地表付近で高温になった空気は密度が低いため、上空へと持ち上げられ周囲に流れ出します。

この時、地表付近では陸地側は低気圧となり、高気圧側である海からの風が吹きます。

逆に上空では陸地から海に向かって風が吹きます。

海風はおよそ100m~1km(300ft〜3,000ft)の高さがあり、風速はおよそ5〜6m/s(10〜12kt)となります。

夏などの暑い時期には、日中の陸地と海水の温度差が大きくなり海風が卓越します。

Sea Breeze

陸風(Land Breeze)

夜間に陸から海に向かって吹くかぜを陸風と言います。

夜間になると太陽による熱は無くなるので陸地は急激に冷やされ、海水よりも冷たくなります。

日中とは逆で、相対的に海水の方が温かくなるので海側の空気が上昇し低気圧となり、陸側が高気圧となるため陸側から海に向かって風が吹きます。

逆にその上空では海から陸に向かって風が吹きます。

陸風は高さがおよそ100m(300ft)で、風速はおよそ2〜3m/s(6〜9kt)と海風よりも規模は小さくなります。

冬などの寒い時期には、海水温が陸地よりも高い状態が続くため陸風が卓越します。

Land Breeze

凪(Calm)

海風から陸風に変わる夕方と、陸風から海風に変わる朝方のタイミングで一時的に風がおさまります。

この風がおさまるタイミングをそれぞれ「夕凪(Evening Calm)」、「朝凪(Morning Calm)」といいます。

海風から陸風に、または陸風から海風に移行するときは1〜2時間の移行時間があります。

風の移行期間とも言える凪のタイミングは季節や場所によって様々です。

陸風から海風に変わる「朝凪」は、夏場は8〜11時でそれ以外の季節では、12〜13時が多いと言われています。

海風から陸風に変わる「夕凪」は、夏場は23〜24時でそれ以外の季節でも18時以降と言われています。

沿岸部にある飛行場では、どのタイミングで風向が変わるのかある程度予測できそうですね。

海風前線(Sea Breeze Front)

海風前線とは海風が陸地に進入することによって形成される収束帯のことです。

海からの冷たい空気が陸からの温かい空気とぶつかることで寒冷前線のような収束帯を形成します。

海風前線付近では積雲系の雲が形成され、大気の状態が不安定な場合や湿った空気の流入が強い場合には、雷雨を伴うような積乱雲を形成することもあります。

海風前線は寒冷前線と同じような特徴が見られ、前線付近では風向風速や気温の変化が生じます。

一般風が海から陸に吹いている場合は、海風は陸深くにまで進入します。

逆に一般風が陸から海に吹いている場合は、進入距離は短いものの強い海風前線を形成する傾向があります。

Sea Breeze Front

まとめ

海陸風は気圧配置などに関係なく、海岸地域に見られる局所的な大気の循環です。

海水と陸地の比熱(物質の温度を1℃上げるのに必要な熱量)の差が海陸風を引き起こします。

日中には海から陸に吹く海風が、そして夜間には陸から海に向かって陸風が吹きます。

海風が陸地へ進入すると寒冷前線に似た海風前線を形成し、積雲系の雲を形成することがあります。

局所的な天気現象のため、場所によってそれぞれ特徴があると思います。

一度自分が飛ぶ場所の海陸風について調べてみるのもいいかもしれませんね。

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