ヘリコプターは夜間に飛ぶイメージがあまり無いと思いますが、報道や撮影また遊覧などでは夜間に飛ぶことがあります。
今回の記事ではヘリコプターが夜間に飛ぶ時のルールについてまとめています。
なかなか夜間に飛ぶ機会は少ないと思うので後で見返してみてください。
夜間とは?
そもそも夜間とは日没から日出までのことを言います。
太陽が沈んでから太陽が出てくるまでです。
逆に昼間は日出から日没までです。
ちなみに日出と日没の定義もありますので参考までに載せておきます。
太陽の上端が地平線(または水平線)に接する瞬間を、日出・日没時刻と定義しています。
従いまして、日出とは太陽が地平線から顔を出し始めた瞬間、日没とは太陽が地平線に沈み きって見えなくなった瞬間になります。
第五管区海上保安本部海洋情報部海の相談室
航空法を見ていると「夜間」という文字が結構出てきますので覚えておいてください。
日没時刻から日出時刻の間に飛行している場合、夜間飛行になります。
夜間飛行に関わる航空法
ここからは夜間飛行に関わる航空法を見ていきましょう。
飛行場灯火
夜間においては飛行場に灯火がないと航空機は離着陸することができません。
第三表の「陸上ヘリポートの飛行場灯火」を見てみましょう。
⚪︎のものが最低限必要な飛行場灯火の種類です。
「風向灯」と「境界灯」の2つしかありませんね。
(飛行場灯火の設置基準)
航空法施行規則 第百十七条
法第三十九条第一項(法第四十三条第二項において準用する場合を含む。)に規定する飛行場灯火の位置、構造等の設置の基準は、次のとおりとする。一 夜間着陸又は精密進入を行う計器着陸の用に供する陸上空港等及び陸上ヘリポートの飛行場灯火は、空港等及び滑走路の区分ごとに第一表から第三表までに定めるところにより設置するものであること。
航空法施行規則
場外離着陸場は?
場外離着陸場の飛行場灯火の設置基準は地方航空局における場外離着陸許可の事務処理基準に書いてあります。
それぞれいろんな条件が書いてありますが、ここでも「風向灯」と「境界灯」は必須になっています。
航空機の灯火
夜間においては航空機が自機の位置や進行方向を示すため灯火をつける必要があります。
暗くなってきたら車のライトをつけるのと同じです。
(航空機の灯火)
航空法 第六十四条
航空機は、夜間(日没から日出までの間をいう。以下同じ。)において航行し、又は夜間において使用される空港等に停留する場合には、国土交通省令で定めるところによりこれを灯火で表示しなければならない。ただし、水上にある場合については、海上衝突予防法(昭和五十二年法律第六十二号)の定めるところによる。(航空機の灯火)
航空法施行規則 第百五十四条
法第六十四条の規定により、航空機が、夜間において空中及び地上を航行する場合には、衝突防止灯、右舷灯、左舷灯及び尾灯で当該航空機を表示しなければならない。ただし、航空機が牽引されて地上を航行する場合において牽引車に備え付けられた灯火で当該航空機を表示するとき又は自機若しくは他の航空機の航行に悪影響を及ぼすおそれがある場合において右舷灯、左舷灯及び尾灯で当該航空機を表示するときは、この限りでない。航空法施行規則 第百五十七条
法第六十四条の規定により、航空機が、夜間において使用される空港等に停留する場合には、次に掲げる区分に従つて、当該航空機を表示しなければならない。一 空港等に航空機を照明する施設のあるときは、当該施設
二 前号の施設のないときは、当該航空機の右舷灯、左舷灯及び尾灯
航空法、航空法施行規則
衝突防止灯・右舷灯・左舷灯・尾灯
衝突防止灯・右舷灯・左舷灯・尾灯
または
牽引車に備え付けられた灯火
右舷灯・左舷灯・尾灯
衝突防止灯は「アンチコリジョンライト」、右舷灯、左舷灯、尾灯は3つセットで「ポジションライト」と言います。
ポジションライトは一つのスイッチで右舷灯、左舷灯、尾灯が点く機体がほとんです。
色は右舷灯が緑、左舷灯が赤、尾灯が白です。
左右で色を分けることによってライトを見るだけで航空機の進行方向が分かるようになっています。
アンチコリジョンライトは赤が多いイメージです。
ポジションライトは「点灯」ですがアンチコリジョンライトは「点滅」です。
またこれらの灯火に加えてほとんどの機体には「ストロボライト」というライトが装備されています。
白の閃光で航空機の視認性を高めるためのものですが、近くにいるとめちゃくちゃ眩しいです。
地上にいる間は基本的にOFFにし離陸してからONにします。
最近の飛行経験(航空運送事業)
航空運送事業をしようとする場合、操縦士は90日までの間に3回以上の離着陸経験を有していなければなりません。
夜間に運航しようとする場合はこの内1回以上の夜間での離着陸経験が必要です。
ドクターヘリのような航空運送事業のスタンバイ業務に就く操縦士は、定期的に夜間の慣熟フライトを行い飛行経験が切れないようにしています。
(最近の飛行経験)
航空法 第六十九条
航空機乗組員(航空機に乗り組んで航空業務を行なう者をいう。以下同じ。)は、国土交通省令で定めるところにより、一定の期間内における一定の飛行経験がないときは、航空運送事業の用に供する航空機の運航に従事し、又は計器飛行、夜間の飛行若しくは第三十四条第二項の操縦の教育を行つてはならない。
航空法施行規則 第百五十八条
航空運送事業の用に供する航空機の運航に従事する航空機乗組員のうち、操縦者は、操縦する日からさかのぼつて九十日までの間に、当該航空運送事業の用に供する航空機と同じ型式又は当該型式と類似の型式の航空機(第三項において「型式航空機等」という。)に乗り組んで離陸及び着陸をそれぞれ三回以上行つた経験を有しなければならない。
2 夜間における離陸又は着陸を含む前項の運航に従事しようとする場合は、同項の飛行経験のうち、少なくとも一回は夜間において行われたものでなければならない。ただし、同項の運航が次の各号のいずれにも該当するときは、この限りでない。
航空法、航空法施行規則
まとめ
今回は夜間飛行のルールについてまとめてみました。
■飛行場灯火
陸上ヘリポートの場合、風向灯と境界灯が最低限あれば離着陸できる。
■航空機の灯火
飛行中は衝突防止灯、右舷灯、左舷灯、尾灯を点けなければならない。
■最近の飛行経験(航空運送事業)
さかのぼって90日までの間に夜間における1回以上の離着陸経験が必要。