ヘリコプターや飛行機がどのくらいの高さを飛んでいるかを表す「高度」ですが、実はいろんな種類の「高度」があるんです。
それぞれの高度が何を表しているのか、そしていろんな高度の違いについて解説します。
真高度(True Altitude)
真高度とは平均海面(MSL:Mean Sea Level)からの実際の高さのことを言います。
空港の標高や山の標高などは全てこの「真高度」で表しています。
真高度は計器高度に温度補正をすることで求められます。
絶対高度/対地高度(Absolute/Ground Altitude)
航空機の直下にある地表または水面からの高さのことで、「対地高度」というのが一般的です。
通常は電波高度計によって航空機の対地高度を知ることができます。
しかし電波高度計が装備されていない機体も多いので、その時は自分の目と感覚を頼りにするしかありませんね。
ヘリコプターは低高度を飛行する機会が多いです。
また対地高度を指定されて飛行する任務も多くあるので、ヘリコプターのパイロットはこの対地高度をより意識して飛んでいます。
気圧高度(Pressure Altitude)
標準大気(ISA)の気圧と高度の関係から導かれるもので、標準の気圧である29.92inHgからの高さのこと言います。
高度計のAltimeter settingを29.92inHgに合わせた時の値が気圧高度です。
もし仮にその時の大気が標準大気状態であれば気圧高度と真高度は等しくなります。
日本では14000ft以上を飛行する際、この気圧高度で飛行するように定められています。
したがって14000ft以上を飛行している航空機はAltimeter settingを29.92inHgに合わせて飛んでいます。
この高度計の規正方法を「QNE」と言いQNEで飛行している時の高度は「Flight Level」と言います。
気圧高度は密度高度や真対気速度を求めるのに使われ、また機体の性能を確認するときなどにも使用されます。
密度高度(Density Altitude)
気圧高度に標準大気の外気温度と実際の外気温度の誤差を補正をしたものを密度高度と言います。
密度高度は一般的に航空機の性能を知るために使われます。
航空機のエンジンや翼の性能は空気の密度によって大きく左右されるため、密度高度を使って航空機の限界を知ることができます。
各航空機の飛行規程には以下のような気圧高度と外気温度を使って密度高度を求められるチャートがあります。
縦軸が密度高度、横軸が外気温度、ピンク色の斜線が気圧高度(5000ft)、斜めの黄色い斜線が標準大気のスケールです。
求め方としては、まずは任意の気圧高度を選択します。この場合は5000ftを選択しました。
図の青い線を見てみましょう。5000ftの気圧高度の線と標準大気のスケールとの交点を結べば、当然密度高度も5000ftになります。
次に赤い線を見てみましょう。
これは標準大気よりも外気温度が10℃高い状態です。地上における外気温度が25℃だった場合を想定しています。
標準気温減率で1000ftにつき2℃下がるので、5000ftでは25℃から10℃下がって15℃になります。
外気温度15℃と気圧高度5000ftの交点を左にスライドすると、密度高度は6100ftとなります。
同じ5000ftを飛んでいても外気温度が10℃高ければ、空気の密度的には6100ftを飛んでいることになります。
高高度高温下での運用になるとよりクリティカルなものになってきます。
覚えておいて欲しいのは、外気温度が高いと密度高度は高くなり、外気温度が低いと密度高度は低くなります。
そして航空機にとっては密度高度が高いと不利、密度高度が低いと有利です。
計器高度(Indicated Altitude)
Altimeter Settingにセットした基準気圧から機外気圧までの差を高度計に示したものです。
高度計がその場所の標高を示すようにする規正方法であるQNHによって得られる高度です。
したがって計器高度は常に平均海面からの高さを示しています。
通常はこの計器高度を見て飛行しています。
外気温度の補正はなく高温時は空気の密度が低いので高度は高く表示され、低温時は高度は低く表示されます。