今回の記事では高度計の規正方法であるQNH・QNE・QFEについて解説します。
アルティメーター・セッティングとはなんなのか?
QNH・QFE・QNEとはなんなのか?
それぞれにどんな違いがあるのか?
この記事を読んで高度計規正方法について正しく理解しましょう。
アルティメーター・セッティングとは
航空機に装備されている高度計は高度を測定しているのではなく、その場所の気圧を測定して高度に換算して表示しています。
したがって何もしないと、実際飛行している高度とは当然誤差が出てきます。
その誤差をなくし、正しい高度を表示させるためにパイロットはアルティメーター・セッティングを行います。
具体的な操作としては高度計の左下にあるアルティメーター・セッティング・ノブを回し任意の気圧値をセットするだけです。
アルティメーター・セッティングには、QNH・QFE・QNEの3つの方法があります。
航空法施行規則には気圧高度計の規正について以下のように定められています。
(気圧高度計の規正)
第百七十八条 機長は、次に掲げる方法により気圧高度計を規正しなければならない。
一 平均海面から一万四千フート未満の高度で飛行する場合は、飛行経路上の地点のQNHの値(出発時において出発地のQNHの値を入手できない場合は、出発点の標高)によつて規正すること。
二 前号以外の場合は、標準気圧値(1013.2ヘクトパスカル(29.92inHg))によつて規正すること。
航空法施行規則
QNH(Altitude:平均海面からの高さ)
QNHとは、航空機の指示高度が平均海面からの高さを示すようにする規正値のことで、平均海面の気圧を基準としてアルティメーターセッティングウィンドウにセットします。
したがってQNHをセットすると、飛行場にいる航空機の指示高度は飛行場の標高を示します。
平均海面からの高さを示しているので、自機と地形や障害物との高度の間隔が分かりやすいです。
QNHは実際の平均海面の気圧なので、場所や時間によって変化していきます。
パイロットは常に最新のQNHを入手して更新しなければなりません。
QNHをセットした時の高度を「Altitude」といい「A 100(Altitude 10000ft)」と表記します。
QFE(Height:飛行場からの高さ)
QFEとは、飛行場にいる航空機の指示高度が「0」を示すようにする規正値のことで飛行場現地気圧を基準としてアルティメーターセッティングウィンドウにセットします。
飛行場において高度計の指示が0になるようにノブを回した時の気圧値がQFEです。
QFEを用いることで飛行場などの任意の地点からの高さを高度計に指示させることができます。
QFEは高地の飛行場や艦船での離着陸に用いられることがありますが、一般的にはQNHを使うことが圧倒的に多いです。
QNE(Flight Level:気圧高度)
QNEとは、航空機の指示高度が気圧高度を示すようにする規正値のことで、標準大気の平均海面気圧である29.92inHg(1013.25hpa)をアルティメーターセッティングウィンドウにセットします。
航空法施行規則にあるように、日本では14000ft以上の高度を飛行する場合は標準気圧値を基準とするQNEで飛行しなければなりません。
QNEをセットした時の高度を「Flight Level」といい「FL300(Flight Level 30000ft)」と表記します。
Transition Altitude
QNHとQNEを切り替える高度は、「Transition Altitude」と呼ばれ国や地域によって異なります。
日本の場合は14000ftがTransition Altitudeであり、この高度を境にQNHとQNEが分かれます。
日本以外の地域では、例えばアメリカやカナダではTransition Altitudeは18000ftになっています。