ヘリコプターの仕事を航空法的に大きく2つに分けるとすると「航空運送事業」と「航空機使用事業」に分かれます。
この2つ以外にも「国際航空運送事業」と「国内定期航空運送事業」があります。
普段乗るエアラインの飛行機や貨物便はこの「国際航空運送事業」や「国内定期航空運送事業」が当てはまります。
あまりヘリコプターの仕事には関係ないのでここでは割愛します。
これらの定義は航空法第2条に記載されています。
「航空運送事業」とは、他人の需要に応じ、航空機を使用して有償で旅客又は貨物を運送する事業をいう。
「航空機使用事業」とは、他人の需要に応じ、航空機を使用して有償で旅客又は貨物の運送以外の行為の請負を行う事業をいう。
ヘリコプターの航空運送事業
「航空運送事業」とは、他人の需要に応じ、航空機を使用して有償で旅客又は貨物を運送する事業をいう。
ヘリコプターを使って人を運んだり、荷物を運ぶことは航空運送事業になります。
どちらかというと、ヘリコプターの仕事で航空運送事業は少なめです。
旅客輸送や遊覧飛行、EMS(ドクターヘリ)などがあります。
山小屋に下から人を運ぶのも運送事業ですね。
遊覧飛行は同じ場所に戻ってくるので、どうなんだろうと最初は思いましたがあれも運送事業になります。
ドクターヘリも医師や看護師を患者の元へ運んでんでいるので運送事業ですね。
ヘリコプターの航空機使用事業
「航空機使用事業」とは、他人の需要に応じ、航空機を使用して有償で旅客又は貨物の運送以外の行為の請負を行う事業をいう。
ヘリコプターの航空機使用事業には、報道取材、写真撮影、航空測量、薬剤散布、航空緑化などがあります。
よく間違いがちですが、物資輸送は使用事業です。
物を吊り下げて運ぶ物資輸送は「運んでいる」ので一見、航空運送事業だと思われがちです。
しかし実際は航空機使用事業として運航しています。
物資輸送の現場では、ショベルカーやブルドーザー等と同じでヘリコプターも工事のための一つの道具です。
あくまで工事のためにヘリコプターを使っているという考え方なので、航空運送事業にはならない。らしいです。
イメージとは違うかもしれませんが、実際は使用事業として運航されているということです。
警察や消防のヘリコプターは?
民間会社がヘリコプターでする仕事は「航空運送事業」と「航空機使用事業」に分けられることは理解していただきました。
そこで民間以外の警察や消防/防災ヘリコプターはどれに当たるのか疑問に思いますよね?
結論は「自家用運航」です。
警察でいうと各都道府県がそれぞれ自分達の機体を所有しそれを飛ばしています。
そもそも営利目的でヘリの運航を行なっていないので事業にはなりません。
もしパイロットが「給料は要りません!ボランティアでやります!」と言えば自家用操縦士の資格範囲でもできてしまうかもしれませんね。実際にはありえませんが。
警察ではあまりありませんが、消防防災ヘリコプターでは機体の管理やパイロット、整備士、運航管理を民間会社に委託して運航しているところが多くあります。
機体は都道府県が所有しているので自家用運航になりますが、実際に運航しているのは民間会社の人間です。
なので会社としては防災ヘリは航空運送事業に準じた扱いをしています。
まとめ
今回は「航空運送事業」と「航空機使用事業」の違いについて解説しました。
言葉の定義は航空法第2条にあります。
「航空運送事業」とは、他人の需要に応じ、航空機を使用して有償で旅客又は貨物を運送する事業をいう。
「航空機使用事業」とは、他人の需要に応じ、航空機を使用して有償で旅客又は貨物の運送以外の行為の請負を行う事業をいう。
人や物を運ぶか運ばないかが大まかな違いですが例外もありましたね。
- 人員輸送
- 遊覧飛行
- EMS(ドクターヘリ)
航空機使用事業には、報道取材、写真撮影、航空測量、薬剤散布、航空緑化などがありヘリコプターの仕事はほとんどがこの「航空機使用事業」です。
- 報道取材
- 写真撮影
- 航空測量
- 薬剤散布
- 航空緑化
- 物資輸送
物資輸送は物を運んでいるから運送事業かと思いきや使用事業です。ややこしいですね。
また、警察や消防/防災ヘリコプターはどちらでもなく自家用運航です。
ただし民間会社が受託運航している場合、会社としては航空運送事業に準じた扱いをしています。