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操縦に2人必要なヘリコプター

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普段利用する旅客機はそのほとんどが2人乗りの飛行機です。

すなわちパイロットが2人乗っていないとその飛行機を飛ばすことができません。

操縦に2人(2人以上)要する場合については4つあり、航空法第65条の2に記載されています。

操縦士を2人乗せなければならない場合
  • 構造上、その操縦のために二人を要する航空機
  • 特定の方法又は方式により飛行する場合に限りその操縦のために二人を要する航空機であって当該特定の方法又は方式により飛行するもの
  • 旅客の運送の用に供する航空機で計器飛行方式により飛行するもの
  • 旅客の運送の用に供する航空機で飛行時間が五時間を超えるもの
目次

1.構造上、その操縦のために二人を要する航空機

これは文字通りの意味になりますが、物理的に2人いないと航空機を動かすことができないということです。

どの型式の航空機が該当するかは通達の「航空従事者技能証明の限定について」で定められています。

通達の中の表を見ていくとボーイング767、777、787やエアバスA320、A350、A380など飛行機に興味がある方なら一度は聞いたことのある名前が並んでいます。

これらは現在の各航空会社の主力機として国内・国際線を飛んでいる飛行機です。

これらを含めた多くの旅客機がこの「構造上、その操縦に二人を要する型式」に当てはまることになります。

ではヘリコプターでは何が該当するのでしょうか。

構造上2人乗りのヘリコプター

ヘリコプターも飛行機と同様に通達「航空従事者技能証明の限定について」に記載があります。

飛行機は非常に該当型式が多いですがヘリコプターは現在のところ5つしかありません。

川崎バートル式KV-107 型

出典:航空自衛隊公式サイト

今は既に退役していますが、自衛隊でかつて使われていた機体です。

ローターが前後に位置している「タンデムローター式」のヘリコプターです。

今は全て退役しており、日本の空手は飛んでいません。

自衛隊の基地や航空博物館などで置き物になっているのを見ることができます。

ミル式Mi-8型

Mi-8は旧ソビエト連邦時代のミル設計局(現在はロシアンヘリコプターズ)が開発した中型汎用ヘリコプターです。

ロシアが開発した隠れた名機で全然壊れなかったそうです。

日本の民間会社も所有していました。

Mi-8の輸出型であるMi-17はオウム真理教が所有していたことでも有名です。

民間会社が使っていた機体は現在所沢航空発祥記念館に展示されています。

EHI式EH101 型

イギリスのウエストランド社とイタリアのアグスタ社の出資によって「EHI:Euro Helicopter Industries(ユーロ・ヘリコプター・インダストリーズ)が設立されました。

元々は海軍の対潜哨戒ヘリコプターとして開発されましたが、大型で輸送能力も高かったため汎用ヘリコプターとしての開発になっていきました。

日本では警視庁が民間型としては世界で初めてEH101を導入しましたが、現在は退役しており機体はあいち航空ミュージアムに展示されています。

2000年にアグスタとウエストランドが合併し、アグスタウエストランドとなり、その後EHインダストリーズがアグスタウェストランドに吸収合併されたため現在はAW101と名称を改めています。

シコルスキー式S-64 型

アメリカのシコルスキー社が開発したバカでかいクレーンヘリコプターです。

「スカイクレーン」なんていう呼ばれ方もしています。まさに空飛ぶクレーン車ですね。

この機体の最大の特徴はキャビン部分が無いことです。

キャビン部分を無くしヘリコプターの自重を軽くして吊り上げられる重量を増やすという作戦です。

アメリカらしくてなんかいいですよね。

日本でこいつが飛んでいいたかは謎です。

アメリカに行けばいっぱい見れると思います。

シコルスキー式S-92 型

出典:wikiwand

こちらもアメリカのシコルスキー社が開発した大型汎用ヘリコプターで機内には19人乗ることができます。

大人数を輸送するのがバスみたいだということで「ヘリバス」とも呼ばれています。

この機体の開発にはいくつかの国が関わっていて、日本からは三菱重工業が機体の一部の開発に携わったそうです。

日本では警視庁が2011年から運用を開始していましたが、2019年10月の台風の影響で被害を受け機体が損傷してしまいそのまま退役となってしまいました。

アメリカ大統領専用ヘリ「マリーンワン」にはS-92がベースとなった機体が使われています。

2.特定の方法又は方式により飛行する場合に限りその操縦のために二人を要する航空機であつて当該特定の方法又は方式により飛行するもの

1番目は「物理的に2人いないと飛ばせない」でしたがこれは少し違います。

「普通に飛ぶなら1人で飛ばせるけど、特定の方法や方式で飛ぶときは2人必要ですよ」ということです。

ヘリコプターで言うとTA級運航をするときに操縦士が2人必要という場合があります。

TA級運航とは簡単にいうと、離陸から着陸までのすべてにおいて臨界発動機(止まった時に一番不利なエンジン)が停止しても安全に着陸もしくは飛行を継続することができる条件を満たしながら運航することです。

TA級の離陸をする際は片方のパイロットが操縦をし、もう片方が高度や機体のパラメーターを読み上げたりします。

パイロットを2人にすることでそれぞれのワークロードを減らして事故のリスクを減らそうという考えです。

また計器飛行方式で飛行する時に操縦士が二人必要なヘリコプターもあります。

最近の機体ではあまりみませんが少し古い機体だとありがちだったみたいですね。

3.旅客の運送の用に供する航空機で計器飛行方式により飛行するもの

普段利用する飛行機はまさにこれですね。

旅客(皆さん)をある地点からある地点まで運送しています。

そしてエアラインの飛行機は計器飛行方式により飛行しているのでパイロットが2人必要ということになります。

ヘリコプターも同じで人を運ぶ運送事業で計器飛行方式で飛ぶ場合は2人必要です。

ただ実際にはヘリコプターで計器飛行方式はあまりやりませんが。

ここで注意していただきたいのはあくまで「旅客」を運送する場合です。つまり人間ですね。

飛行機の貨物便やヘリコプターで物を運ぶ場合はこの条件を満たさないことになります。

4.旅客の運送の用に供する航空機で飛行時間が五時間を超えるもの

国際線の飛行機なんかが当てはまりますかね。

3番目にはあった「計器飛行方式」の文字はありません。

なので例え有視界飛行方式であっても旅客を運送する場合はパイロットが2人必要になります。

これはヘリコプターではまず無いですね。

燃料的に5時間飛行できるヘリコプターはほとんどありません。せいぜい3時間そこそこです。

しかも5時間も連続でヘリに乗るのは旅客も大変だと思いますね。うるさいし振動多いしトイレ無いし。

まとめ

今回は「操縦士を二人乗せなければならない場合」と「構造上、操縦に二人を要するヘリコプター」を紹介しました。

操縦士を二人乗せなければならない場合としては4つありましたね。

航空法第65条の2に記載されています。

操縦士を2人乗せなければならない場合
  • 構造上、その操縦のために二人を要する航空機
  • 特定の方法又は方式により飛行する場合に限りその操縦のために二人を要する航空機であって当該特定の方法又は方式により飛行するもの
  • 旅客の運送の用に供する航空機で計器飛行方式により飛行するもの
  • 旅客の運送の用に供する航空機で飛行時間が五時間を超えるもの

そして構造上、操縦に二人を要するヘリコプターは、現在のところ日本では5型式がそれに該当します。

イメージとしては全部デカイ機体でしたね。

構造上、その操縦に二人を要する型式
  • 川崎バートル式KV-107 型
  • ミル式Mi-8型
  • EHI式EH101 型
  • シコルスキー式S-64 型
  • シコルスキー式S-92 型

今後この型式が増えていくのかあるいは減っていくのかは航空局次第ですね。

何度も言いますが根拠としては通達の「航空従事者技能証明の限定について」ですのでご自身で一度確認してみてください。

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